研究課題/領域番号 |
62570745
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
湯沢 秀夫 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (30143770)
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研究分担者 |
高桑 好一 新潟大学, 医学部, 助手 (80187939)
金沢 浩二 新潟大学, 医学部, 助教授 (50092680)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 妊娠 / ガングリオシド / OFAーI / 脱落膜 |
研究概要 |
OFAーIにはGanglioside GM_2とGD_2が含まれるが、今回は抗GM┣D22ヒトモノクローナル抗体の作製を試みた。まず、122例の妊婦血清中の抗GM┣D22┫D2抗体活性をELISAによりスクリーニングし、最高値を示す妊婦の末梢血よりリンパ球を分離した。このリンパ球をB cell Sourceとし、KRー12との細胞融合法及びEBV immortalization法をくり返したが、不成功に終った。この原因はB cell側にあると思われる為、specific cloneの拡大を目的に、GM┣D22┫D2によるin vitro stimulationを施行し、再度抗体作製を試みた。抗GM┣D22┫D2抗体活性を示す3つのクローンが得られたが、安定化する前に活性が消失してしまった。そこで、各種ガングリオシドを用いた吸収実験により、GM┣D22┫D2に特異的活性を示す血清を選び、モノクローナル抗体の代用とし、クロム遊離法による細胞傷害試験を行った。その結果、GM┣D22┫D2を大量に表現している悪性黒色腫に対しては強い傷害性を示すが、絨毛細胞に対してはほとんど傷害性を示さなかった。したがって、絨毛細胞にはGM┣D22┫D2が表現されていない可能性も考えられる為、各組織よりガングリオシドを抽出し、TLCーImmunostaining法にてGM┣D22の有無を調べた。その結果、流産絨毛も含め全ての絨毛細胞にはGM┣D22┫D2は存在せず、脱落膜に大量のGM┣D22┫D2が存在する事が、今回初めて判明した。また、血中GM┣D22┫D2量を測定したところ、母体血中で最も多量のGM┣D22が検出され、臍帯血に比し約7倍のGM┣D22┫D2が含有されており、母体血中のGM┣D22┫D2の起源は、胎児性ではなく、母体側である事を裏づけている。つまり、妊娠にともない脱落膜化した子宮内膜よりGM┣D22┫D2が大量に表現され、母体血中へ移行し、母性感作が起こり抗GM┣D22┫D2抗体が出現したと思われた。しかし、この抗GM┣D22┫D2抗体は、GM┣D22┫D2を表現していない絨毛細胞に対して傷割性は少ないため、妊娠の継続という点からみても合理的であると思われる。今後は、脱落膜とGM┣D22┫D2の関連につき検討していきたいと考える。
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