研究概要 |
1)絨毛細胞核内甲状腺ホルモンレセプターに関する研究:まず正常分娩直後に採取した胎盤の臍帯静脈より2000mlの冷生理食塩水を注入して胎児血を除き, 中程度のホモゲナイズと冷却遠沈法ならびにTriton処理により絨毛細胞核を得, これより0.4MCKlで核蛋白を得た. これらの核分画ならびに核蛋白は用量反応的に, またインキュベーションのtime dependentに^<125>I-T_3と結合した. これらの実験から細胞核内にKa:7.0×10^9/M, Capacity:63fmolT_3/mg, DNAのT_3receptorが存在することが判明した. また末期絨毛細胞核当りのT_3receptor数はおよそ700個で, ラット肝細胞核におけるT_3receptor量のおよそ1/13量と微量であった. また, 妊娠中期や初期絨毛ではKa値に変化はなかったが, capacityが大きく, 細胞の機能分化とT_3receptor量との間で相関性のあることが推定された. そこで, ^<125>I-T_3をnitrophenyl-trifluoropropianate処理によりp-nitrophenyl ziazotrifluoropropionateT_3(T_3PAL)を合成し, これを核蛋白とインキュベート後, 紫外線照射法で, ^<125>I-T_3PAL-receptor complexを作製し, これをマー〓-として核蛋白よりQAE SpephadexクロマトグラフィーでT_3receptorを精製した. 精製されたT_3receptorの分子量はSPS PAGE法によりおよそ45kdと推定された. 現在これを家兎に投与してpolyclonal antibodyの作製, およびマウスに投与してmonoclonal antibodyを作製中である. 2)フタ顆粒膜細胞に対する甲状腺ホルモンの作用:ブタ顆粒膜細胞を種種の濃度のT4やT_3とインキュベーンした結果, 至適濃度の甲状腺ホルモンはFSHとの共存下に顆粒膜細胞, 特に小卵胞内の未分化顆粒膜細胞の黄体化に伴うepitheloid様細胞への形態変化を促すのみならず, FSHによるCH/hCG receptorの誘導を著明に促し, さらにsteroidoqenesisの過程でaromatizationの段階に作用する事を確認した.
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