研究課題/領域番号 |
62570759
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
苛原 稔 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (20160070)
|
研究分担者 |
大頭 敏文 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (70207265)
|
キーワード | 受精 / 糖鎖構造 / 卵透明帯 / 精子認識機構 / アクロゾーム反応 / 受精阻害 / 卵透明帯貫通試験 / 精子不動化抗体 |
研究概要 |
受精にさいして卵透明帯は種特異的な精子の認識に関わっているが、特に糖鎖構造の役割が注目されている。昨年度の研究の結果、ConAレクチンに対応するマンノース糖が、受精の場で重要な役割を担当している可能性が判明したので、今年度はマンノーマに焦点を絞り、ヒト受精系に及ぼす影響を検討するとともに、その受精阻害作用機序の解明を試みた。 〔方法〕Swim up法により得られた活動精子をマンノースを含む種々の糖(50mM)を含む培養液で30分間前培養後、ヒト成熟卵を使用した透明帯貫通試験で検討した。また、同様にして得られた精子を50mMのマンノースを含む培養液中で培養し、acrosome reactionの経時点変化をtriple stain法により検討した。 〔成績〕マンノースで精子を前培養した場合、精子の透明帯貫通性が阻害されたが、その他のガラクトース、フコース、N-アセチル-D-ゲルコサミン等では阻害作用を認めなかった。またマンノースの阻害作用は前培養した精子を洗浄することにより消失した。一方、マンノースで培養した精子をSwim up直後、1、3、6時間後にtriple stain法により検討した結果、acrosome reactionを示す率はコントロールとの間に差がなく、マンノースの受精阻害作用はacrosome reactionと関係がないことが判明した。 〔まとめ〕精子が卵を認識する際には卵透明帯糖鎖構造、特にマンノース残基が重要な役割を担っていること、マンノースの受精阻害作用は可逆的であること、さらにその阻害作用はacrosome reactionの抑制ではないことが明らかとなった。
|