研究課題/領域番号 |
62570759
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
苛原 稔 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (20160070)
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研究分担者 |
大頭 敏文 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (70207265)
SAKAMOTO Yasuki University of Tokushima (10196107)
MORI Kazumasa University of Tokushima
KAMADA Masaharu University of Tokushima (60145018)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 受精 / 精子不動化抗体 / 免疫性不妊 / 糖鎖構造 / 卵・精子相互作用 / 卵透明帯精子貫通試験 / レクチン / マンノース |
研究概要 |
研究代表者らは免疫性不妊症における精子不動化抗体の病因的意義を、ヒト卵透明帯精子貫通試験を用いて明らかにして来た。本研究ではこの抗体に対応する抗原を、主として糖鎖抗原系を中心に解析し、卵・精子相互作用における糖抗原の役割を明らかにするとともに、免疫性不妊症の病態の解明および治療法の開発を目的とした。実験系としては、ヒト卵透明帯貫通試験および精子不動化試験を用いた。実験結果をまとめると以下のとおりであった。(1)WHOバンク血清および各種不妊血清について精子不動化試験を行い、数種の精子不動化抗体価の高い血清を選択した。その血清を用いたヒト卵透明帯精子貫通試験ではすべての血清で精子貫通又は結合の阻止が認められ、精子不動化抗体に受精阻止あるいは抑制のあることが判明した。(2)数種のレクチンを用いたヒト卵透明帯貫通試験を行い、レクチンのうちConA、RCA、WGAの3種のレクチンが精子の貫通を阻害することが明らかになった。(3)これら3種のレクチンに対応する糖について、ヒト卵透明帯および精子についての局在を調べたところ、これらの糖が卵透明帯および精子に存在することを認めた。(4)精子貫通を阻害するこれらの3種のレクチンに対応する糖を、これらのレクチンで処理して精子貫通性の低下したヒト卵に投与して、その精子貫通性の回復をみた実験を行ったところ、ConAに対応するマンノースが受精の場で重要な働きをしていることが判明した。(5)一方、精子を数種の糖で前培養して卵透明帯貫通性を調べたところ、やはりマンノースのみが貫通を阻止した。この阻害作用は可逆的であった。さらにマンノースの作用は精子のアクロゾーム反応には関係しなかった。以上の結果より、ヒトでは受精の場で配偶子上における糖鎖構造、特にマンノース残基が重要な役割を担当しており、これらに対する拡体が不妊の原因になる可能性のあることが示唆された。
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