研究課題/領域番号 |
62570760
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松浦 俊平 愛媛大学, 医学部, 教授 (80026864)
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研究分担者 |
北川 博之 愛媛大学, 医学部, 助手 (60195253)
越智 博 愛媛大学, 医学部, 助手 (50194569)
河端 俊之 愛媛大学, 医学部, 助手 (00195132)
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キーワード | arginine vasopressin / angiotensinII / 胎児仮死 / 胎児心拍数 / 胎児平均動脈血圧 |
研究概要 |
胎児仮死においては神経性ならびに液性調節機序の発動に伴なう代償性循環変動の発現が推察されている。よって、超音波ドプラー血流計測法による潜在胎児仮死時の血行再分配の発現状態を観察するとともに、仮死時に胎児血中に増加をみるarginine vasopressin(AVP)ならびにangiotensinII(AII)の胎児循環調節にはたす役割について妊娠末期ヒツジを用いて検討した。 (1)妊娠中毒症などにおける潜伏胎児仮死の循環動態変動について超音波pulse Doppler血流計を用いて検討した結果、胎児系統血管抵抗の指数である下行大動脈pulsatility indexは高値を示し、一方胎児脳血管抵抗の指数である中大脳動脈pulsatility indexは低値であり、潜伏胎児仮死においては脳循環を優位に保つ血流再分配機構が発現していることを知りえた。 (2)胎児低酸素症や急性貧血時に胎児血中で増量するAVPとAIIの胎児循環動態に対する相互作用を、母仔への慢性カテーテル装着を行なった妊娠末期ヒツジを用いて、AVPおよびAIIの単独または同時投与を行なって検討した。羊胎仔ではAVP各種量(1.5〜13.4mlU/min/kg)の投与によりdose dependentな血圧上昇と著しい徐脈の発生をみ、昇圧反応性は非妊娠成獣への投与時に比し亢進が認められた。この際胎仔動脈血pHの低下PpaO_2の上昇を認め、胎仔胎盤循環への血行再分配に寄与する事が推察された。AII各種量(18.5〜33.0mg/min/kg)の胎仔投与によってもdose dependentな昇圧をみるが、成獣で徐脈を示すのに対し胎仔では頻脈を認めた。またAVPとAIIの同時投与では昇圧は相加的に起こるが、PaO_2は上昇傾向を保ったまま徐脈の度が軽減し、両者が協調して安定した心拍出量を保ちつつ循環調節効果を現わすことが推測された。
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