研究概要 |
オキシトシン(OXT)は神経分泌ホルモンの一つであり, 子宮収縮作用や射乳効果をもつことが知られているが, それ以外の作用に関してはよく知られていない. 今回我々はこのOXTが上記以外の作用をもつかどうかを動物において検討した. 1.OXTの脳脊髄における分布はSD系, SHR系ラットにおいて免疫組織化学的に検索した. OXT含有細胞は従来より報告のある如く, 視床下部の視索上核及び室傍核に主として存在する. 又その線維も視床下部-下垂体後葉路の他に大脳皮質や扁桃の前脳部に技射しているものと, 中脳, 橋, 延髄脊髄に広く分布していた. これらのOXT含有細胞対及び線維の分布はSD系, SHR系ラット間ではほぼ同様であった. 2.Radio immuno assayで上記の脳の各部を測定したところ, 視床下部においては210μu/ラット±10μuであった. 中脳, 橋, 延髄ではそれぞれ500μu/ラット±150, 480μu/ラット±160, 1000μu/ラット±250となっていた. 脊髄では頚髄胸髄及び腰仙髄でそれぞれ500±110μuラット, 730±125μu/ラット, 1350±163μu/ラットとなっていた. これは視床下部の破壊でほとんど消失するところから, 視床下部より脊髄にモノシナプティックに線維が送られていることがわかった. 3.妊娠5日及び20日目のSDラットの腰髄を免疫組織化学的に検索したところ, 妊娠20日目において明らかなOXT陽性線維の増加が認められた. 現在これをRadio immmuno assayにて測定中である. 4.4日間周期を有するSD系雌ラットの延髄にOXTを150μu注入しても性周期の変動はみられなかった. 5.OXTと性周期の関連をヒトにおいて検討するため, 卵胞期, 排卵期, 黄体期での血中及び卵胞液中のOXT量の測定を行っている.
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