研究課題/領域番号 |
62570771
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
大野 虎之進 東京歯科大学, 歯学部産婦人科, 教授 (20085723)
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研究分担者 |
小田 高久 東京歯科大学, 歯学部産婦人科, 助教授 (80129379)
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キーワード | 排卵誘発 / 体外受精 / 卵胞発育 / 卵胞閉鎖 / luteinizing hormone / 卵の変性 |
研究概要 |
体外受精(IVF)において卵胞発育の内分泌動態を各種排卵誘発法の間で比較し、更に血中LHの推移と卵の受精分割能との相関を検討した。排卵誘発法としてはclomiphene citrate(CC)-hMG法、hMG法、FSH法を用いた。 血清LHは、hMG群、FSH群では同様の値と推移を示したが、CC-hMG群では卵胞期中期において他の2群より有意に高値であった。血清FSH、estradio(E_2)、progesterone(P)には刺激法による差はなかった。平均採取卵数、受精率、分割率は全て、3種類の刺激法による差はなかった。 血清LHの推移により、全期間LH低値(I群)、hCG投与後LH高値(II群)、hCG投与前LH高値(III群)の3群に分類し検討した。血清E_2はI、II群ではhCG投与直後にピ-クを形成したが、III群ではhCG投与の前日より増加が抑制された。血清Pは、I、II群ではhCG投与直前より増加が始まったのに対し、III群では、I、II群より2日早く、LHの上昇と一致して増加が開始し、以後他の2群より有意に高値であった。血清FSHには、3群間で差は認められなかった。IVFの成績は、IとII群の間には全く差がなかったが、III群の受精率、分割率は他の2群に比し有意に低値であった。これよりhCG投与前、すなわち卵胞成熟の前にLHが高値になると、卵に変性が始まり、viabilityが低下し、受精分割能が失われることが明らかとなった。 IVFにおいては受精分割能を有する卵が多数得られることが妊娠率向上に直結する事により、卵胞の成熟前にLH、Pが上昇する頻度の少ない排卵誘発法が理想と言える。これに対し無排卵症の排卵誘発療法においては、多胎妊娠という副作用を防止するためには、発育卵胞数を制御できない現時点においては、卵胞閉鎖の頻度の高い方法、すなわち卵胞成熟前にLH、Pが高値となる排卵誘発法が良いと考えられる。
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