研究課題
一般研究(C)
〔はじめに〕Vitamin E(VE)は経験的に妊娠維持に必要な物質とわかっているが、その理由は明らかにされていない。受精前後にVEが妊娠成立に良好な影響を及ぼすと仮説をたてて本研究計画をたてた。3年連続の研究であり、本年度は最終年度にあたる。初年度はステロイドの基含であるcholesterol(C)及び本研究の主役であるVEがヒト顆粒膜細胞培養中にどの程度消費されるか検討を行なった。その結果、VE、C共に50%以上が培養中に消費されるという結果を得た。2年目は実際に培養液中に各種濃度のVEとCを添加し、培養液中のEstradiol(E_2)とProgesterone(P)を測定した。その結果、予想に反してE_2、P値はVEの添加により値の変化がないことが判明した。最初の研究計画では3年目は培養液中にVEを添加した場合のProstaglandin(PG)生成を調べることになっていたが2年目のデ-タがNegativeであったことを考慮して予定を変更した。すなわち、基礎的検討に立ちかえり、マウス卵子の受精率にVEがどの程度影響をしているか検討を行なうことにした。〔方法〕hMG-hCG刺激を行なったICR系マウスより未受精卵を採卵し、シャ-レ内にて体外受精を行なった。この際体外受精用培養液にVE、Cを添加した系を組み、非添加群と添加群の受精率の差異を調べた。〔結果〕非添加群の受精率は63%であったのに対して添加群の受精率は50%以下であり、VE、Cの添加により受精率は減少した。本研究は残念なことに2年目以降ネガティブデ-タとなってしまった。反省点としては、受精前後は諸々の要素により実験結果が変化しやすいので正確に実験系を組んでいなかった可能性がある。今後は2細胞以後の卵子、あるいは着床期の子宮内膜を使用して研究したい。
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