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1987 年度 実績報告書

質的な延命効果を目的とした頭頚部進行・再発癌に対する化学療法の開発に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 62570784
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

犬山 征夫  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70051480)

研究分担者 川浦 光弘  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10169675)
キーワードguality of life / 頭頚部進行 再発癌 / 化学療法 / シスプラチン / カルボプラチンペプロマイシン
研究概要

基礎的研究としては新しい多剤併用療法を開発するため, 当科で継代しているヌードマウス可移植性ヒト頭頚部扁平上皮癌Sq-I, Sq-M, Sq-Sの3株を用いて実験を行った. 実験動物としては6週齢雄性BALB/c-nu/nuマウスを用いた. 薬剤はcisplatin(CDDP)8mg/kg, carboplatin(CBOCA)100mg/kg, peplomycin(PEP)16mg/kgを用い, 各々腹腔内投与とした. 薬剤の投与は実際の臨床に則してCDDPあるいはCBDCAは単回投与とし, その翌日より5日間連日でPEPを投与した. 以上により従来, 頭頚部扁平上皮癌に対して68%という奏効率を示しているCDDP, PEPに対して, CBDCA, PEPの併用がどの程度の効果が得られるかを比較検討した. その結果, 両併用療法は3つの腫瘍株に対してほぼ同等の抗腫瘍効果を示した. また副作用においても両群の間に有意差はみられなかった. 以上のことから実際の臨床においてはCDDPの腎毒性を防止するためには入院の上, hydrationを行うことが必須であるのに対し, CBDCAではhydrationが不要であり, 副作用としての悪心・嘔吐が少ないというphase II studyの結果と併せ考えるとCBDCAとPEPの併用療法は外来投与が可能であるのみならず, CDDP+PEPと同等の効果が得られることを示唆している. 従ってCBDCAとPEPの併用療法はquality of lifeという点から考えても有用な治療法として期待される. 臨床的研究としては過去10年間に当科において化学療法単独治療を行った頭頚部進行・再発癌87例についての延命効果を検討した. その結果, 1年以上2年未満の延命効果は16例にみられ, 2年以上3年未満は5例, 3年以上4年未満は4例, 6年以上は2例という成績であった. 従って, 頭頚部進行・再発癌に対する化学療法単独5年生存率は約2%ということになるが, これは10年前にはみられなかったことであり, quality of lifeという面から考えても化学療法の意義はきわめて大きいと考える.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 田中寿一: 日本癌治療学会誌. 22. 601 (1987)

  • [文献書誌] 犬山征夫: 耳鼻咽喉科・頭頚部外科. 60. 29-34 (1988)

  • [文献書誌] 犬山征夫: クリニカ. 15. 22-27 (1988)

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公開日: 1989-03-20   更新日: 2016-04-21  

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