研究概要 |
治癒切除不能下咽頭癌に対する化学療法を検討するに当って、過去13年間に行った化学療法例を分析した結果、いくつかの非交叉耐性を示す組み合わせを見出した。その一部を示すとUFTとBM療法(bleomycin,BLMとmitomycin C,MMC)、UFT-M療法(UFT,MMC)とCP療法(CDDP,PEP)、CDDPとUFT,VMB療法(vincristine,VCR+methotrexate,MTX+BLM)とCP療法、VMBM療法(VCR,MTX,BLM,MMC)とCDDPなどである。もちろんこれは非交叉耐性がみられる可能性が比較的高いということで、腫瘍細胞が完全に耐性になっている場合は無理である。そこで実際の薬剤選択法をわれわれの考えに従ってみると、1st lineの化学療法としてはまずVMP療法(VCR,MTX,PEP)、VDMP療法(VDS,MTX,PEP)を行うべきであろう。その理由はCDDPと交叉耐性がないこと、およびこのregimenは毎週または隔週ごとに繰り返すことが可能なため、効果を早く判定できるからである。この時点でno responseまたはprogressive diseaseの場合はCDDPを含むregimenに変更すべきであろう。しかしPR以上の効果があればそのまま継続し、4〜5コース行ってCDDPを含むregimenに移行する。CDDPを含むregimenとしてはCP療法またはVDSやADRを加えたregimen、あるいはCDDP,5-FU療法が推奨される。CRになった例ではUFTとbiological response modifier(OK-432、Krestin、bestatinなど)の併用を考慮すべきであろう。これらの治療はいわば非交叉耐性連続的化学療法(non-cross resistant sequential chemotherapy)とでも称すべきものである。一方、CDDPを含む併用を1st lineの治療とした場合は1コース終了した時点で少なくともminor response以上の効果がなければ他のregimenに変更すべきである。しかしもしPR以上の効果を認めれば少なくとも3コースは行い、CRが得られなければVMPまたはVDMP療法を選び、これも効果がなければ2nd lineの治療を行うべきである。
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