研究課題/領域番号 |
62570797
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
星野 清 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (70023653)
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研究分担者 |
織田 銑一 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (60023660)
福井 義浩 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50144168)
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キーワード | Stereology / disector法 / シナプス・ニューロン比 / ラット / 上丘 / 大脳皮質視覚野 / 視神経 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、暗環境飼育の視覚系発達への影響を検討した。今年度は、暗環境飼育の大脳皮質視覚野ニューロン密度・シナプス密度への影響と視神経発達への影響を、stereology技術を用いて調べた。 〔方法〕実験群は次の4群で雄のみを用いた。1)暗環境飼育30日齢、2)明環境(12時間明/12時間暗)飼育30日齢、3)新生仔期30日間暗環境飼育、以後明環境飼育65日齢、4)明環境飼育65日齢。灌流固定後、右大脳皮質視覚野(17野)と右視神経を切り出し、型どおりエポン包埋を行った。視覚皮質から連続切片(3μ)を1対作製し、II層からIV層のニューロン数をビデオカメラを用いてモニター画面上で数え、Q^-の値を求め、disector法を用いてニューロン密度を計算した。同一ブロックから1対の連続超薄切片を作製し、対応部位の電顕写真よりQ^-の値を求め、シナプス密度を計算した。さらに、視神経断面の電顕写真より画像解析装置を用いて有髄線維と有髄軸索の直径を計測し、有髄線維の総数を求めた。 〔結果〕実験群、対照群とも皮質ニューロン密度は約6×10^4/mm^3、シナプス密度は約1×10^9/mm^3であり、シナプス・ニューロン比はおよそ1.5×10^4であった。生後30日間の暗環境は、大脳皮質視覚領ニューロン密度、シナプス密度に有意な影響を与えなかった。シナプス・ニューロン比も、暗環境、年齢、これらの交互作用の影響は認められなかった(ANOVA分析)。 視神経有髄線維の総数は日齢に関係なく一定で、暗環境飼育の影響も認められなかった。有髄線維、有髄軸索の直径とも暗環境飼育群のほうが、明環境飼育群より大きく、新生仔期・幼仔期30日間の暗環境は、形態学的に視神経に不可逆的な影響を与える可能性が考えられる。
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