渦静脈を結紮して脈絡順循環障害を起こし、網膜接着力におよぼす影響を解明する目的で、家兎を用いて、一連の実験を行った。 1.片眼の渦静脈を2本結紮した後、24時間、1、2、及び4週後の各群に対して、限局性網膜剥離を作成して剥離が消失するまでの時間を測定した。網膜下液吸収時間は、渦静脈結紮から24時間後と1週後の群では、渦静脈結紮眼の方P非結紮眼よりも有意に長かった(p<0.01)。2週後と4週後の群では、渦静脈結紮眼の方が非結紮眼よりも長かったが有意差はなかった。このことから、渦静脈2本結紮後1週までは網膜色素上皮細胞(RPE)の網膜下液吸収態が以下するが、2週以降は回復してくると考えられた。 2.家兎の片眼の渦静脈を2本結紮した後、24時間、1、2、及び4週後の各群に対して、両眼に硝子体内蛍光測定を行い、硝子体腔内フルオレセイン濃度の減少率を調べた、フルオレセイン濃度の減少率は、硝子体後部において渦静脈結紮から24時間後と1週後の群では、渦静脈結紮眼の方が非結紮眼よりも有意に小さかった(p<0.01)、このことから、渦静脈2本結紮後1週まではRPEのフルオレセイン態動輸送機能が以下していると考えられた。 3.渦静脈を結紮して脈絡膜循環障害を起こした家兎のRPEと視細胞外節(OS)の微細構造を、結紮後24時間、1、2、及び4週後に走査型電子顕微鏡だ観察した。渦静脈を結紮して1週後からRPEに変化が出始め、2週後が最も強く、4週後には回復傾向がみられた。OSは、渦静脈の2本結紮では4週後まで変化が認められなかった。渦静脈を3本結紮すると1週後からOSに変化が出始め、2週後が最も強く、4週後には回復傾向がみられた。このRPEとOSの形態的変化は、脈絡膜循環血流量の低下が関与しているものと思われた。
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