研究概要 |
1.ロイコトリエンB_4(LTB_4)を家兎の硝子体内に注入し, 前房水中の蛋白と白血球数を計測した. またエンドトキシン注入による実験的ぶどう膜炎をおこし虹彩及び前房水中のLTB_4を測定した. その結果LTB_4は眼組織で生合成され, 眼組織においてもLTB_4は白血球集積作用があることが判明した. 実験的ぶどう膜炎の眼組織においてLTB_4は増加する. また, ぶどう膜炎患者の血清中LTB_4を測定し, ベーチェット病患者血清ではLTB_4値が高いことが判明した. ベーチェット病患者の血清中のLTB_4の高値は, 本症の白血球遊走能の亢進を説明出来る一つの要素と考えられるが, 今後発作時, 寛解期などにおける動向について解析が必要である. 2.LTB_4の眼組織での白血球集積作用を抑制する新しい薬剤の眼球内移行が示され, 新しい抗炎症剤としての可能性が示された. 3.血小板活性因子-platelet-activating factor(PAF)の眼組織での働きについて明らかにするため実験を行った, PAFは血小板活性化作用の他, 好中球, 単球活性化作用などがあるが眼科領域での研究は殆んどない. 今回洗浄家兎血小板の活性化を指標としたバイオアッセイ法を用いて家兎の血液, 虹彩におけるPAFの生成量を測定した. 家兎の細切し超音波処理した虹彩においてPAFが生成されることが示された. またエンドトキシン眼内炎において房水及び虹彩にPAFが増加し, 眼内炎の進行とともに増加した. PAFは, ある種の眼内炎の初期メディエーターとして働く可能性が示され, 他のメディエーターとの関係が注目された.
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