1.低出力レ-ザ-光の骨創傷治癒に及ぼす影響について:低出力レ-ザ-光が受傷後の骨組織の再生に及ぼす影響をラットを用いて実験的に検討した。その結果、照射群では肉芽組織の形成とその線維化傾向、類骨組織と仮骨の形成は非照射群に比較してより早期に進行していた。とくに、初期における間葉系細胞からの骨芽細胞の分化と骨基質の形成時期に明らかな差が認められた。 2.低出力レ-ザ-光のラット顎下腺に及ぼす影響について:ラットを用いて、低出力レ-ザ-光の顎下腺に及ぼす影響を検討した。その結果、照射直後から顆粒管上皮細胞の核分裂像数が増加しはじめ、照射後24時間目には対照群の約5倍に達していた。2日目以降は対照群と同数に回復していた。 3.低出力レ-ザ-光が歯髄切断創に及ぼす影響について:犬の永久歯に対して生活歯髄切断を通法の如く行なった後、低出力レ-ザ-光を屠殺日まで連日5分間照射した。その結果、照射群では象牙芽細胞の分化と象牙質の形成が非照射群に比較してやや早期に進行していた。 4.低出力レ-ザ-光が生体活性材料の骨伝導能に及ぼす影響について:犬の顎骨ならびに大腿骨に人工的骨欠損部をつくり、ここに生体活性材料を充填し、ここにレ-ザ-光を照射した。その結果、照射群では非照射群と比較して、肉芽組織の形成、線維芽細胞の出現と骨基質の形成、類骨組織の形成などが早期に進行していた。 5.低出力レ-ザ-光の軟組織損傷の治癒に及ぼす影響に関する組織化学的ならびに超微構造的検討:ラット口蓋粘膜に外科的に潰瘍をつくり、低出力レ-ザ-光照射後の上皮細胞ならびに間葉系細胞の動態を検討した。その結果、肉芽組織の線維化ならびに上皮の再生は低出力レ-ザ-光照射でやや促進された。
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