研究概要 |
酸抑制物質は, Streptosporanagium sp.M株の培養上清から抽出・精製したMLI(仮称, 粗標品)と, Strep.mutans血清型C株の培養上清から精製・単離したバクテリオシンC3603である. 供試菌は, S.mutans血清型a〜gの7菌株とLactobacillus caseiおよびL.acidphilusを用い, 以下の結果などを得ている. 1.S.mutans resting cell, glucose, MLI又はC3603, 緩衡液などからなる反応液(pH7.2)の37°C60分間温置後におけるpHは6.8〜7.0を示し, MLI又はC3603無添加の対照液pH4.6と比較して顕著なpH低下抑制が認められた. 2.glucoseからの乳酸産生阻害:上記の実験系において, MLIは菌体がPS14株(c)の場合50μg/mlの添加により対照と比較して91.4%, 10μg/mlの添加で89.8%の乳酸産生抑制率を認めた. 6715株(d)の場合50μg/mlの添加で87.8%の抑制率を認めた. C3603はPS14株に対し50μg/mlの添加で99.6%, 6715株に対しては同濃度で99.4%の抑制率を認めた. MILは顕著な乳酸産生阻害を示した濃度(50μg/ml〜10μg/ml)で, 両供試菌株に対し抗菌作用を認めなかった. しかし, C3603は同濃度で両菌株に対し明らかな抗菌(殺菌)作用を示した. Lactobacillus2菌株に対してMLIは, S.mutansと同程度の乳酸抑制効果を認めたが, 10μg/ml以上の濃度では抗菌作用も認められた. 3.MLIは, 供試S.mutansによるglucoseからの酢酸, ギ酸などの産生に対する抑制作用を認めなかった. 4.MLIは, 1.0μg/ml以上の濃度で乳酸脱水素酵素(LDH)の活性を阻害した. C3603では同濃度範囲でLDH阻害効果は認められなかった.
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