研究分担者 |
栗田 智子 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (20130594)
高田 和子 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (20120496)
落合 邦康 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50095444)
平澤 正知 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60095453)
福島 和雄 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (20009327)
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研究概要 |
酸抑制物質は、Actinomyces sp株 (仮同定) の培養上清から精製したMLIを中心に、バクテリオシンC3603、モノヨード酢酸、Azalomycin等である。S.mutans群 (血清型a〜g) とLactobacillus属2菌種を用い、基質からの酸生成の上記物質による阻害作用とその機序を追求し、以下の結果を得た。 1.MLIの添加はS.mutans resting cellによるglucose加反応液のpH低下を顕著に抑制した。 (MLI添加:pH6.8,同非添加:pH4.6) 。 2.MLIはS.mutans群の乳酸生成を顕著に阻害した。その効果は抗菌作用に基因するものではなかった。Lactobacillusの菌種に対しても乳酸生成阻害を認めたが、菌株によっては抗菌性も認められた。 3.C3603,モノヨード酢酸,Azalomycinは,S.mutans群の乳酸生成を阻害したが、抗菌作用も認められた。酸生成阻害のあるとされるNigericinとMonensinは、本実験条件では阻害を認めなかった。 4.MLIはS.mutans群による乳酸以外の代謝産物である蟻酸、酢酸の生成に対して阻害作用を認めなかった。 5.MLIは濃度に依存して著しい乳酸水素酵素 (LDH) 活性の阻害を認めた。2.5μg/mlの添加では同活性を95%阻害した。しかし、C3603およびモノヨード酢酸ではLDH活性の阻害を全く認めなかった。 6.MLIを分取用kiesel gelを用いて薄層クロマトグラフィーを行った結果、Rf値の異なるA、B、C、Dの4スポットに分離された。各スポットの抽出物のうち、D画分のみに乳酸生成阻害活性が認められた。D画分に抗菌活性に依存しない乳酸生成阻害を認めたので、この画分の高速液体クロマトグラフィーを行った結果、3ピークを認めた。この3ピークの乳酸生成阻害を現在実験中である。
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