研究課題/領域番号 |
62570820
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
竹内 宏 朝日大学, 歯学部, 教授 (40102123)
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研究分担者 |
土居 誠司 朝日大学, 歯学部, 助手 (80188838)
金久 純也 朝日大学, 歯学部, 助教授 (50121314)
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キーワード | 成人性歯周炎 / リンパ球サブセット / two color flow cytometry / HLAタイピング / suppressor T cell / helper T cell / suppressor inducer T cell |
研究概要 |
本研究では歯周炎発症と病機進展の極めて重要な鍵を握るとされている免疫応答並びに骨吸収のメカニズムについて検索を行っており、すでに62年度おける研究ではCD8^+suppressor/cytotoxic T cell陽性率に患者、健常人間で差異のあることを見いだし、これが治療経過を通してほとんど変化しないことを報告した。そこで平成元年度の研究ではtwo clolr flow cytometry analysisを用いてより詳細に末梢血リンパ球サブセットの変動を分析した。成人性歯周炎患者30例、健常人40例の分析結果より、歯周炎患者においてみられたCD8^+サブセットの低下はCD8^+CD11b^+suppressor T cellの低下に起因することが明らかとなった。CD4 populationをCD4^+Leu8^+suppressor inducer T cellとCD4^+Leu8^-helper T cellに分離分析した結果、初診時において患者群でhelper T cellの低下とsuppressor inducer T cellの上昇を認めた。CD8^+CD11b^+suppressor T cellの低下は3ヵ月後の初期治療終了時においても大きく変化することは無かったが、CD4^+Leu8^+およびCD4^+Leu8^-サブセットでは変化が見られた。さらに、この免疫調節機構の恒常性の差異が遺伝的支配によくものかあるいは後天的なものであるのかを検索するために、歯周炎患者31例、健常人32例のHLAのタイピングを実施した。その結果特定のHLAタイプと疾患の相関については見出すことは出来なかったものの、HLA-DQ1保有者が患者群で31例中20例と多く、HLA-Bw51を有する患者が31例中9例で、健常人の32例中2例に比較すると、高い値であった。HLA-DQ1抗原は近年の研究で免疫抑制調節に極めて密接に関連していることが明らかにされつつある。今後、末梢血において見られたsuppressor T cellの低下が免疫抑制能の低下を意味するか否か、ならびにHLA-DQ1抗原がここに関連性を有するかどうかを検討する予定である。
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