研究課題/領域番号 |
62570821
|
研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
土井 豊 朝日大学, 歯学部, 教授 (40116067)
|
研究分担者 |
下川 仁弥太 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (80014257)
森脇 豊 朝日大学, 歯学部, 教授 (90028738)
|
キーワード | オステオネクチン / GLa蛋白 / 象牙質リン蛋白 / 石灰化 / コラーゲン / 架橋 / 非コラーゲン性蛋白 / アルカリ性フォスファターゼ |
研究概要 |
前年度までの研究により、骨Gla蛋白、オステオネクチンおよび象牙質リン蛋白はアパタイトの折出過程を遅延する能力があることが明らかとなった。これらの研究では、無機塩としてのカルシウムならびにリン酸溶液が使用され、あらかじめ濃度の決められたリン酸カルシウム水溶液からアパタイトが折出する過程に蛋白がいかなる効果を有するかで、蛋白の役割を研究した。本年度では、β-グリセロリン酸カルシウム溶液をアルカリ性フォスファターゼで加水分解し経時的に無機リン酸濃度を上昇しアパタイトを折出する系を新たに導入し、上述の非コラーゲン性蛋白のアパタイトの折出過程に果す役割を再検討した。2mM弱に調整したβ-グリセロリン酸カルシウム溶液に0.05mg/mlのアルカリ性フォスファターゼを作用すると、約半日後にリン酸カルシウム塩が折出する。この系に蛋白を導入すると、折出開始時間が蛋白濃度に比例して遅くなり、経時的に過飽和度が上昇する系におていも蛋白はアパタイトの折出を遅延する能力があることが確認できた。この時、蛋白存在下ではより多くの無機リン酸が産生されていないと最初の折出相が現われないことも示され、蛋白存在下でアパタイトが折出するためにはより高い過飽和度を必要とすることが新たな知見として得られた。この事実は、従来までの系では実証できなかったもので、遅延効果の大半は最初の"核"を形成する段階で発現し、さらに折出成長過程にも遅延効果が及ぶことが初めて明らかとなった。これらの結果は、コラーゲン線維共存下でも本質的に同じであり、コラーゲンは石灰化の過程で何らの効果も果していないことが示唆された。さらに架橋剤を使用し、コラーゲン線維と蛋白との架橋を試みたものについても同様に調べたが、この複合体が積極的にアパタイト、"核"としての役割を果たしているとの知見は得ることができなかった。
|