研究概要 |
水中に浮かんでいて, 重力に抗する必要の少ない魚類には筋紡錘はない, とされて来たが当教室では, 淡水産ヤマメの咀嚼筋を使用して, 世界で始めて魚類の筋紡錘を発見し, NATURE に発表した. 今回は海洋性魚類の二三について, 筋紡錘を探究した. まず小鯛, アジ, サバ等で体の筋肉を使用して, 海産魚類での固定液の影響を, 通常の固定液と高張・低張の浸透圧の固定液を使用して研究した. その結果は通常の固定液が最も良い結果で鍍銀染色が得られた. 魚体部の筋肉においてはやはり, 筋紡錘は一例も認められなかった. 魚類の咀嚼筋は複雑な下顎肯稜の間に入りこんでおり, 咀嚼筋の摘出に手間どった為か, 筋紡錘らしいものは数例見つかっているが, まだ発表できるような写真が取られていない. この頃, 研究代表者たる筆者が(三好作一郎)が交通事故に遭遇し, 右手上腕骨頭複雑骨折で3ヵ月間入院せざるを得なくなりました. その結果分担研究者は各自の学位論文テーマに熱中する時間が多くなり, 現在も好結果が得られて居りません. 幸にして筆者の右手も80%回復したので, 4月から残りの期間で咀嚼筋の筋紡錘の探求に全力を尽くしたいと考えております. その結果は来年8月10日よりブラジルで開催される予定の第VIII回International Anatomical Congress 1989に発表することを楽しみとして, 必ず好結果が得られるように全力を尽くすつもりである.
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