研究概要 |
1.Streptococcus mutansJC2の培養pHを7.0から5.5に低下すると、ギ酸、酢酸の産生が減少して、乳酸の産生が増加すること(歯科基礎医学会総会、1988年、で口頭発表)、さらに、pH5.5での乳酸産生増加の原因の1つはpH5.5で培養するとき、酵素LDHの生合成が増加するためであり、2つめは培養液のpH低下によって、菌体内pHも低下するのでピルビン酸-ギ酸リア-ゼ活性が低下し、逆にLDH活性は高まるためであることを明らかにした(歯科基礎医学会総会、1989年および第67回IADR、1989年、アイルランドで口頭発表したが、さらに論文として投稿準備中である)。 2.また、フッ素は連鎖球菌の酸産生を阻害するが、S.sanguisに対するこの阻害効果は好気条件でよりも高度嫌気条件でのほうが強いことを明らかにし、さらにこれは嫌気条件では糖の菌体内への取込に用いられるホスホエノ-ルピルビン酸の供給が制限されているためであることを論文として発表した(J.Dent.Res.印刷中)。 3.従来より連鎖球菌により産生される水素イオン量は有機酸の量と等しいものと考えられて来たが、水素イオンの量はカルボン酸の総量よりも約10%程度多いことを明らかにした。これは連鎖球菌がカルボン酸以外の酸を産生する可能性を示唆するものであるが、これを論文として発表した(J.Dent.Res.68(1)16-19,1989)。
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