研究概要 |
1)A431培養細胞の細胞外液にATPを添加すると, ^<45>Ca^<2+>の細胞への取込みが促進される. 細胞の諸機能の調節に細胞内Ca^<2+>が極めて重要な役割を演じているので, この現象を解析するために, Ca^<2+>輸送阻害剤であるベラパミール, ニフェジピン, ジルチアゼムなどを添加して, ^<45>Ca^<2+>取込み実験を行なったがこれらの化合物は^<45>Ca^<2+>取込みを阻害しなかった. しかし, ATPのアナログであるAMP-PNPをはじめ, ATPaseの阻害剤であるADP, ピロりん酸を添加してATP依存性^<45>Ca^<2+>取込みを測定すると, これらの化合物によるecto-ATPase活性の阻害と平行して^<45>Ca^<2+>の細胞への取込みが阻害された. また本研究で用いた^<45>Ca^<2+>輸送阻害剤はecto-ATPaseを阻害しなかった. したがってATP依存性^<45>Ca^<2+>取込みにecto-ATPaseが何らかの役割を演じている可能性が考えられる. 現在, ^<45>Ca^<2+>の取込みおよびecto-ATPase活性に対する種々の二価金属イオンの効果を調べ, ^<45>Ca^<2+>の取込み活性とecto-ATPase活性の相関関係を調べている. 2)細胞外ATPはA431細胞において(1)にのべた^<45>Ca^<2+>の取込みに先行して, ATP添加後数秒以内に急激な細胞内Ca^<2+>の上昇が起こることを見出した. 細胞内Ca^<2+>はATP添加後約30秒で最大値を与え, 2-3分以内にATP添加前の値にもどった. 細胞外ATPによってEGFレセプターがりん酸化されることを既に見出しているので, この現象は, 細胞外ATPによって細胞膜のホスファチジールイノシトールりん酸の分解が促進された結果ジアシールグリセリドとイノシトール三りん酸が生成したためと考えられる. 現在細胞内Ca^<2+>上昇に対する各種リガンドの影響について調べると同時に細胞外ATPによるホスファチジールイノシトールりん酸の分解を直接調べている.
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