研究概要 |
歯周病原菌の局所への定着は, それらが病原性を発揮するこめの第一ステップである. 歯周病原菌の多くは, 歯面や口腔上皮に付着するリガンを有する. 歯周病原性Bacteroidos gingivalisの付着機属について, 1974年以来継続して研究してきてそのメカニズムをほぼ解明することができた. さらにBacteroides intermediusは, レクチン様リガンドを有することを見い出した. このリガンドは, 特定のタンパク分解酵素によって失活するものの, 糖の添加による顕著な失活はみられなかった. B.intermediusからフェノール・水法によって抽出したlipopolysaccharidesは, 強い赤血球凝集能を有することを明らかにした. 本菌のlipopolysaccharideの活性は, 菌の定着因子の1つとなっているだろう. またlipopolysaccharideの腺質画分がその付着性の鍵となっていることもわかった. 一方, 本菌体の赤血球凝集活性は, 血球をあらかじめneuraminidaseで処理することによってはじめてみられることから, 本菌種のリガンドに対するレセプターはN-acetylneu-raminic acidとの結合が解かれて露出するものと考えられる. Capnocyto-phaga菌種は, B.intermedius同様成人の歯周局所から高頻度で分離される. Capnocytophaga菌種の30%は, 直接赤血球凝集能を有することがわかった. 本菌種の赤血球凝集能は, galactoseやlactoseの添加によって完全に抑えられた. また菌体をタンパク分解酵素や加熱処理をすることによっても失活されたことからそのリガンドはレクチン様タンパクと考えられる. 歯周病原性グラム陰性菌の排除が, 特異血清によってもたらすことが可能がどうか, まずB.gingivalisに対する抗血清を用いて検討中である. 実験ハムスターは, 本菌の定着を確実にする目的で臼歯部に結紮糸を施した. B.gingivalisに対する抗血清は, 全菌体に対するものとは付着因子であるhemagglutininに対するウサギ血清を調節した.
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