研究概要 |
これ迄確認されていない唾液腺のCa^<2+>・phospholipid-dependent proteim kinase(groteim kinase c)について, 活性を判定することによりその存在を確認し, 加えて耳下腺アミラーゼの分泌にproteim kinase Cが関与していることを明らかにした. 即ち, (1)合成基質(PLARTLSVAGLPGKK)を用いてラット耳下腺及び顎下腺のphosphatidylserine-dioleineにより活性化されたproteim kinase C活性(耳下腺:9nmol/min/g;顎下腺:6nmol/min/g)を測定した. 唾液腺の本酵素の活性は, 心臓(12nmol/min/g)や肝(17nmol/min/g)と同等のものであったが, 脳(562nmol/min/g)に比較し低いものであった. (2)耳下腺アミラーゼ分泌に対するproteim kinase Cの役割:a)proteim kinase Cの活性促進剤であるphorbol ester(PMA)やphosphatidylserine-dioleineはラット耳下腺からのアミラーゼ分泌を促進した. b)Ca^<2+>-phospholipid-dependent proteim kinaseの活性を増強するdioleineやacetyl-oleyl-glycerolは各々単独ではアミラーゼの分泌に影響をおよぼさなかった. c)proteim kinase Cの阻害剤(H-7)をPMAやphospatidylserine-dioleineと共に加えると両者の場合ともアミラーゼ分泌を抑制された. これらの結果は, ラット耳下腺から分泌されたアミラーゼはPMA等によって活性化された. proteim kinase Cを介して分泌促進されたものであり, proteim kinase C抑制剤であるH-7により阻害された事を示す. 即ちアミラーゼの分泌にproteim kinase Cが関与していることが明らかとなった. 引き続きproteim kinase Cによるアミラーゼ分泌機構を解明する為に, proteim kinase Cによって特異的に燐酸化を受ける蛋白質が耳下腺細胞内に存在するか否かを検討中である. 現在迄の所, そのような単発質を確認するに至っていない.
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