研究概要 |
1)Protein kinase Cと耳下腺アミラ-ゼ分泌との係わり:a)ラット唾液腺(耳下腺、顎下腺)のprotein kinase CおよびCa^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase II(kinase II)活性を合成基質を用いて測定した。両酵素の活性は心臓や肝臓の値に近いものであった。b)kinase C活性物質diacylglycerol,phosphatidylserineをラット耳下腺スライスに加えるとamylase分泌が促進され、その系にkinase Cの活性抑制剤H-7を加えることにより分泌の抑制を認めた。これによって、kinase Cがamylase分泌に関与していることが明らかになった。c)更に、耳下腺及び顎下腺に於けるkinase Cの基質について検討し、SDSーPAGEでMr.80KDaのタンパク質がkinase Cの基質であることを明らかにした。 2)ラット唾液腺α_1ーアドレナリン受容体タンパク質の同定:合成リガンド4ーamino-6,7-dimethoxy-2-[4ー[5ー(4ーazido-3-[^<125>I]iodo-phenyl)pentanoy]-1-piperazynyl]quinazolineと耳下腺及び顎下腺粗膜漂品との結合実験の結果、顎下腺のリガンドに対するB_<max>=36.4fmol/mg protein;Kd=783pMであった。光照射によるcross-linking後、SDS-PAGEによってMr.42KDa、31KDa、38.5KDaに特異的結合に由来すると考えられるバンドを認めた。 3)ラットβ_1ーアドレナリン受容体遺伝子の構造:ラット心臓から得られたcDNAおよび遺伝子DNAからヒトβ_1ーアドレナリン遺伝子の構造から得られるoligonucleotideをプロ-ブとして目的とするβ_1遺伝子をクロ-ニングしその塩基配列およびコ-ドされるアミノ酸配列を明らかにした。cDNAおよびgenomic DNAの塩基配列の比較からβ_1ーアドレナリン遺伝子はイントロンレスであることが判明した。さらにヒトの遺伝子と比較すると42塩基短い(ラット、1392;ヒト、1434)ものであったが、両者のアミノ酸配列は90%の相同性を示した。
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