研究概要 |
今年度は, ラット, マウス, ハムスターおよびモルモットの顎下腺の分泌性機能分節(腺房および顆粒管)の分取〓とそれぞれの分節の糖蛋白分子種の検索を行った. 結果;1.分節分取に最適な0.1%コラゲナーゼによる顎下腺の消化時間は, ラットおよびハムスターで約2時間, マウスおよびモルモットで約1.5時間であった. また, microdissection法で分析可能な量の分泌性分節を得るのに要する時間は, 動物種により腺に占める分節の割合と大きさが異なるため, モルモットで最も短かく, 次いでハムスター, ラット, マウスの順であった. 2.顎下腺の腺房と顆粒管の可溶化試料を10u1ガラスキャピラリーに充填した. 4-40%連続濃度勾配SDS-ポリアクリルアミドディスクゲルにアプライし, 同時に糖蛋白泳動像を比較する場合は, 1カラム当り蛋白として1μgが適量であった. 3.これらの方法を用いて各種動物の腺房試料の糖蛋白泳動像をみた結果は, ラット, マウスおよびハムスターでは, 泳動パターンが類似しており, いずれも染色性の最も強い130KDa, やや染色性の劣る21.5KDaのBand, および染色性のかなり弱い2本のBandがみられた. しかし, モルモットの像は, 著しく異なり31KDaのBandとその両側に1本づつそれより染色性の高いBand(分子量検討中)および染色性の弱い3本のBandがみられた. 一方, 顆粒管試料の糖蛋白泳動像についてみると, ラット, マウス, ハムスターおよびモルモットの泳動パターンは, ほぼ類似しており, いずれも31KDaのBandが最も強い染色性を示し, その他に染色性の弱い2-4本のBandがみられた. 以上の成績より, 〓歯類動物の顎下腺の腺房を構成する糖蛋白分子種は, ラット, マウスおよびハムスターで類似しており, モルモットはこれらに比べ明らかに異なること, また, 顆粒管のそれは, いずれの動物種でもほぼ変わらないことが明らかとなった.
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