研究概要 |
骨吸収を促進する因子として近年注目されているインターロイキン1およびTNF(腫瘍壊死因子)の組織内局在を免疫組織化学的手法を用いて検索した. 1.人根尖病巣における局在について:根尖切除術時に採取された人根尖病巣をPLPにて6時間固定した後, 通法に従いエタノール系列で脱水し低融パラフィンに包埋した. 厚さ4μmの連続切切を作製し, 一部はH-E染色を施して歯根肉芽腫と診断した. 免疫組織学的には, 一次抗体としてマウス抗人IL-1抗体(Genzyme)を用いた. 二次抗体にはビオチン化ヤギ抗マウスIgM抗体, 更にアビジン標識ペルオキシダーゼ, DAB発色の順に反応を行い, メチルグリーンにて核染色を施した. 好中球, 血管内皮細胞に反応陽性の所見を認めた. 2.ラット根尖病巣誘発モデルについて:IL-1局在と骨系細胞の動態を経日的に観察することを目的に8週齢ラットの下顎臼歯の髄腔開放を行った. PLPによる潅流固定後10%EDTAにて脱灰し, 常法通りパラフィン切片を作製した. 得られた1日後から7日後までの組織においては, 根尖孔付近に好中球の浸潤が認められ, 隣接する骨表面には破骨細胞が出現していた. IL-1の局在は好中球および破骨細胞に観察された. 現在, 長期経過例として術後30日例および60日例を作製中である. 3.今後の研究の展開:今回用いたABC法では内因性ペルオキシダーゼの除去に0.3%H_2O_2添加メタノールを用いたが, 阻止が不完全である可能性があり, またHRPのコラーゲンに対する親和性のためbackgroundも染色され局在観察が難しい. そこでグルコースオキシダーゼを用いたABC-Go法により検索する予定である. TNFの局在に関しては市販の特異抗体がないため, recombinant TNF2に対するモノクローナル抗体を現在, 作製中である.
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