研究概要 |
1.破骨細胞様多核細胞の形成: マウス長管骨の骨髄細胞を1α, 25(OH)_2D_3存在下で1週間培養した結果, 濃度依存的に破骨細胞様多核細胞(multinucleated cell,MNC)の形成が認められた. この形成された多核細胞は, 酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼに陽性を示し, またカルシトニンに対する応答性を有することから, 破骨細胞様細胞であると考えられた. 2.MNCへの1α, 25(OH)_2D_3-26, 23-1actoneのおよぼす影響: 1α, 25(OH)_2D_3の主代謝産物の1つである1α, 25(OH)_2D_3-26, 23-1actoneは, 弱い腸管カルシウム吸収促進作用, 血中カルシウム濃度低下作用, 骨吸収抑制作用および骨形成促進作用など多彩な生物活性を有する代謝物である. そこで, 1actone体の骨吸収抑制作用機構を明らかにするため, MNCに対する1α, 25(OH)_2D_3-26, 23-1actoneの効果を検討し, 以下の結果を得た. (1)23(S)25(S)-, 23(R)25(S)-配置の1actone体は, MNC形成を促進しビタミンD様活性を有することがわかった. (2)23(S)25(R)-, 23(R)25(S)-配置の1actone体は, MNC形成を促進せず, 1α, 25(OH)_2D_3によるMNC形成の促進を強力に抑制し, 抗ビタミンD様活性を有することがわかった. 以上のことから, 23(S)25(R)-および23(R)25(S)-1α, 25(OH)_2D_3-26, 23-1actoneは, 前駆細胞の破骨細胞様多核細胞への融合を阻害することにより, 骨吸収抑制に働くことが示唆された. なお, 詳細については現在検討を行なっている.
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