1)鋳造体の寸法精度の測定 前年度までに、リングレス鋳造に適した試作埋没材の組成が、石膏量25%、クリストバライト量37.5%および石英量37.5%で、混水比が0.35の場合に鋳造体の変形量が最少となることが判った。このリングレス埋没鋳造法において、〓型の植立埋没方向を縦および横と変えて鋳造を行った時、20K金合金を用いた場合、変形量は最も小さく0.43であった。また、ADAのMOD規格原型による鋳造体の適合試験においても、やはり20K金合金を用いた鋳造体の適合が、金銀パラジウム合金よりも良好であった。 2)臨床応用 次に、口腔内にインレー窩洞を形成、印象採得を行い、模型上にて〓型を採得し、試作埋没材を用い、混水比0.35で埋没鋳造を行った。インレー合着一年後の経過観察を行ったところ良好な適合状態であった。 3)硬化膨張を阻害しない鋳型作製用リングの考案 鋳型作製時に用いているシリコーンリングは、埋没材のリング側方向への硬化膨張を阻害する可能性があるために、硬化膨張が自由になるような鋳型作製法を考案した。第一の方法としてアルミ箔を星形にした直径35mm高さ35mmのリング、また第二の方法としてミニコピー用フィルムを用いた直径35mm高さ35mmのリングを考案した。第二の方法では初期硬化終了まで手指にて固定した。〓型の植立方向を変えた二法、さらにリングの異なる二法これらを組み合わせた四群について、鋳造体を調製してその膨縮変化を測定した。その結果どの方法においても、シリコーンリングを用いた方法よりも、不良であった。この試作埋没材は硬化膨張が大きいために硬化膨張を抑制したほうが変形が小さかったものと思われる。
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