根尖病巣の病態を非観血的に知る目的で、根管治療の過程で随時得られることの多い病巣由来の根管滲出液成分に注目し研究を行った。 本年度は、根管治療の際に得た滲出液より細胞を分離し、その細胞成分のなかで大半を占めた多形核白血球(好中球)について、特にその細胞を検索して下記の結論を得た。 1.根管滲出液中の細胞の生存率および細胞数 根管滲出液より分離した細胞の生存率をtrypan blue exclusion testにて算定した結果、生存率84.2±11.7%、細胞数(4.7±6.4)×10^8/mlを示した。 末梢血と根管滲出液の細胞の生存率および細胞数を比較すると、末梢血は生存率で有意に高い値を示し、細胞数では有意に低い値を示した。 2.根管滲出液中の多形核白血球(好中球)の機能検査 根管滲出液中の好中球はその患者の末梢血中の好中球と比較して、殺菌能と貪食能の低下が認められた。
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