本研究は日常の臨床で一般的に用いられている下顎位とEMGバイオフィードバックによる中心位、タッピング位などの下顎位とを比較し、EMGバイオフィードバックの特徴を明らかにし、EMGバイオフィードバック下の下顎位が臨床的に咬合位決定の基準に成り得るかを検索することにある。昭和52年度において、すでに、MKGおよびシリコート、チェックバイト法により、中心位、タッピング位、マイオセントリック位および筋肉位の4種の通常の下顎位と本法による下顎位とを比較した。その結果、EMGバイオフィールドバック位は中心位より前方に、タッピング位より〓かに後方に一仕手いることが明らかにされた。また、マイオセントリック位は前後的には比較的本法に近い傾向を示した。また前後的にはEMGバイオフィードバックによる下顎位は中心位とのディスクレパンシーがもっとも多く、筋肉位、マイオセントリック位、タッピング位とのそれは少ない傾向を示した。そこで本年度はこれらの結果をより詳細に知るため、例数を追加しながらEMGバイオフィードバック下の下顎位の特徴を三次元的に分析すること、さらには本法による下顎位決定法を顎関節症などの咬合位の設定が困難であるとされる患者に用いて、その臨床的評価を得ることである。その結果、EMGバイオフィードバックによる下顎位は、通常のタッピング位に比較し、前、後、左右および上、下的にすべての被検者(正常有歯顎者および顎関節症患者)でバラツキが少なく、再現性のある下顎位を得られることを示した。またマイオセントリック位は左、右的、および上、下的にEMGバイオフィードバック下の下顎位よりバラツキが大きく、再現性が乏しいことが明らかになった。以上の結果からEMGバイオフィードバックによる下顎位は三次元的にもその再現性に優れ、臨床的に下顎位の決定法として使用し得ることが判明し、その臨床成績が著名であった。
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