研究概要 |
有髄歯を支台歯形成する際に、形成面と歯髄との接近度を測定することは,術中の露髄を察知したり、術後経過を予測したりする上で重要な意義がある。筆者らは、従来から、超音波パルス反射法を応用して、残存象牙質の厚さ測定に検討を加えており,測定を希望する部位に超音波探触子を当てれば、その直下の残存象牙質の厚さ測定が可能な歯科用超音波診断装置を開発した。この機能をさらに充実させ、歯髄の形態を画像表示すると同時に、各部位における残存象牙質の厚さを判定することができれば、臨床的に大いに役立つ。そこで,現在のAモード表示方法を再度検討して歯牙硬組織の超音波特性を探り、有髄支台歯の超音波画像表示の可能性を検討した。 今年度は、主としては、画像の表示方法について検討した。表示される画像の精度は振動子の分解能によって決定される。今回使用した振動子はビームの直径を絞り、測定部位を限定しやすいように設計されている。そのため、対象からの反射波形のエネルギーの違いを用いて対象の形状を画像表示したところ、面積の広い反射源の画像を正確に表示することは困難であった。 そこで、反射波をその振幅値に応じて輝度変換してCRTに表示するグレイスケール表示法によって反射源の形状表示したところ、反射源の形状を正確に表示することはできないが,欠損が生じている範囲を画像にすることは可能であった。 しかし,画像をさらに正確に表示するためには、超音波ビームの走査方法の開発およびグレイスケール表示の明瞭化が必要であり、これらは今後に残された問題であろう。
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