1.リポソームは生体膜モデルとして広く用いられている。歯科材料の生体膜損傷のメカニズムを明らかにするため、りん脂質二重層よりなるリポソームを用いて、これらの化合物との相互作用を示差走査熱量計(DSC)および^1H、^<13>CNMRで研究した。リポゾームはジパルミトイルホスファイチジルコリン(DPPC)を用いた。この結果重合性モノマー類はリン脂質リポソームに取込れることが明らかになった。モノマー類はDPPCリポソームの相転移温度を低温シフトさせ、エンタルピー(△H)を減少させた。 Bis-GMAモノマーについても同様に検討した。OH基をもつBis-GMA、Iso-BisGMAはOH基をもたないBis-MEPP、Bis-MPPに比べ、DPPC-コレステロール(CS)リポソーム系に対し大きな相互作用を示した。これはOH基をもつ化合物は界面活性作用をもつのでリポソーム系と大きく相互作用したと考えられた。その他重合開始剤や禁止剤についても研究した。これらの相互作用は低濃度でも大きかった。 2.フェノール誘導体(フェノール、ユージノール等)のDPPCリポソーム相互作用をDSC、NMRで検討した。本誘導体でもアルキル置換基の疎水性が増すにつれ、相転移温度が低温シフトし、△Hの減少も大きくなった。ユージノールはDPPCのアシル基と強く相互作用し、NMRのプロトン及びカーボンのケミカルシフトがみられなかった。 3.歯科用金属塩類のDPPC-CS系リポソーム相互作用を前と同様な方法で研究した。多価カチオンは一価のカチオンより相互作用は大きかった。
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