研究概要 |
一定荷重で研削する天秤型装置を用い, 通法により鋳造した13%Cr-Ni合金を被削材とし, 24,000rpmのホィール回転数で1時間の連続研削を行い, 市販および試作の各種ビトリファイド系ホィールについて研削性能とその持続性を評価した. また, 研削時の被削材の振動やAE信号を解析するとともに, ホィール研削面や切りくずのEPMAによる形態観察から研削挙動を検討した. まず, 市販のホィールで予備実験を行ったが, いずれのホィールも単位時間あたりの削除量は時間とともに著しく減少し, Ni-Cr合金がCo-Cr合金に比較して極めて難削性であることがわかった. 特に, アルミナホィールは砥粒の著しい磨滅のために研削性能は初めから急速に低下した. 研削荷重を増すと削除量はいくらか多くなるが, 300gfの荷重で全てのホィールが研削中に割れた. ところが, 被削材に送りをかけながら研削すると研削能率はかなり改善されることがわかった. カーボランダムの場合にこれは特に顕著で, 削除量は時間にほぼ比例して増加した. そこで, 粒度番号が100, 150, 220のカーボランダム砥粒を用い, 結合剤の量がそれぞれ15, 19, 23%のホィールを試作して試験に供した. 荷重が100gf以下では試作のホィールの研削性能は市販のホィールのそれとほぼ同等であったが, 150, 200gfに増やすと#150で結合剤が19%のホィールだけが, ホィールの損耗がいささか大きいものの, 市販のホィールに比較して非常に優れた研削性能を示した. なお, 0.1-1MHzのバンドパスフィルターを介して記録したAE信号の周波数解析では, Co-Cr合金の場合のスペクトルに350および430KHz付近で強く鋭いピークが出たが, Ni-Cr合金ではそれらのピークは認められず, 100KHzから高い周波数に向かってパワーは緩やかに減少した. けれども, ホィールの種類や研削荷重によるスペクトルの定性的な違いは認められなかった. 研削挙動とAEの関係については更に検討を要する.
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