研究概要 |
遊離端義歯の設計において, 義歯の機能回復の第一の要件は, 下顎位の回復にある. そこで遊離端欠損患者の下顎位の安定性を測定するため, 下顎支持域という概念を導入した. 下顎支持息の測定は, 口腔内に設定した3ヶ所の変位センサーによって客観的に表示される. 本年は, 遊離端義歯の設計について次の条件下での観察を行い, 幾つかの知見を得た. 1)維持装置の選択が, 下顎支持息の回復に及ぼす影響について 結論 (1)遊離端義歯には, 支持域の回復能力がある. (2)その回復能力は, 維持装置により異なり, 天然歯列を100%とすると, Konuskrone義歯82%, 鋳造クラスプ義歯59%, ワイヤークラスプ義歯38%, 義歯装置なし33%となり, 維持装置のうち支持, 把持に優れたもので支持域の回復能力が高かった. (3)支持域の回復能力に優れた義歯ほどより大きな咬合力を発現できる. 2)顎粘膜支持の影響について 結論 (1)同一維持装置においては, 粘膜加圧印象の方が粘膜静態印象に比べ支持域の回復に効果があった. (2)同一印象法においては, 維持装置がより支持, 把持に優れたもので支持域の回復が良好であった. (3)床外形の設定についての検討が, 更に必要であることが分った. 以上, 2つの研究から, 維持装置と欠損部顎粘膜の印象法について, 臨床への示唆が導かれたものと考えられる. 尚, 1)2)とも日本補綴歯科学会で既に発表を行い, 1)は, 出版ずみ, 2)は, 投稿予定のものである.
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