研究概要 |
本研究費の助成により、ス-パ-オキサイドアニオンラジカル(O^-_2)に特異的なウミホタル・ルシフェリン誘導体(CLA)を発光物質とする化学発光法とヒドロキシルラジカル(・OH)に対し最も鋭敏な測定法であるESRスピントラップ法を応用し、種々のフリ-ラジカルを測定した。 1.多形核白血球の活性酸素生成系に及ぼす抗癌剤の影響 OZ及びPMA刺激によるヒト末梢血多形核白血球(PMN)のO^-_2の産生はBLM,PEP添加により増強された。その増強作用はBLMに比べPEPのほうが大きかった。他の抗癌剤にはこのような作用は認められなかった。化学発光測定機器は本研究費で購入したルミネッセンスリ-ダ-BLR201を用いた。 2.口腔癌患者多形核白血球の活性酸素産生能に関する臨床的研究 口腔癌患者PMNのO^-_2産生能は健常人のそれと比較して低値を示し、癌患者の一次的生体防御能が低下していることが示唆された。抗癌剤投与の影響はPMA刺激時にやや増大したが、比較的影響は少なかった。今後、症例を追加し長期間の変動について検討して行く予定である。 3.抗癌剤の活性酸素増強のメカニズムに関する基礎的検討 O^-_2生成系、・OH生成系の各々に対してBLM,PEPを添加すると、濃度に比例して増強効果を示した。その効果はいずれもPEPの方が大きく、同程度の効果を示すにはPEPはBLMの約1/2の濃度でよいことが明らかになった。その作用はBLM、PEPが鉄イオンと錯体形成し、生成したフリ-ラジカルと二次的に反応し、更にラジカルを生成する結果であることが示唆された。
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