研究概要 |
エネルギーサブトラクションを応用して, X線写真から骨ミネラル量を測定する方法を, 臨床に応用する体制を確立する事が本課題の目的である. 1.画像入力システムの高速化 デジタルイメージスキャナ(シャープJX450)を購入して, X線写真の画像入力を高速化した. この結果, これ迄48時間を要した入力が3分となった. この入力装置の特性を評価して, 以下の様な結果を得た. 直線性:本イメージスキャナの出力値(256段階)は, フィルムの透過光強度に比例する. 黒化度2以上では迷光のため直線性は低下する. 出力値の精度は, 〓段階であった. 歪:方眼紙を試料として格子点の位置を測定した所, あるべき位置からの変位は, 250mm離れた点についても, 10画素(0.85mm)であった. 解像力:公称85μmの画素の出力値のうち, 15%程が隣接する画素からの影響であった. 半値幅は, 100μm程と推定された. 以上から, 本装置は骨ミネラル量測定システムの入力に使用できる. 2.動物実験への応用 高密度ハイドロキシアパタイトを家兎下顎骨に移植し, 1, 3, 6か月後に屠殺して下顎骨を摘出した. これを本法で観察した結果, 1か月後では移植した試料片周囲には骨ミネラルの沈着は認められなかった. 3か月後では移植片周囲に, 0.2〜0.3g/cm^2の骨ミネラルが沈着していた. 6か月後では, 骨ミネラルの沈着量は約0.3g/cm^2と大きな変化は無かったが, 石灰化した領域は広がっていた. また3か月後では新生骨は一層の軟組織層で移植片と隔てられていたが, 6か月後では軟組織層は消失し, 石灰化層は移植片に密着していた. この所見は, マイクロラジオグラムによる観察結果と一致していた.
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