1.ディジタルイメージスキャナを用いた高速画像処理システム ディジタルイメージスキャナ(シャープJX450)をGPIBてパーソナルコンピュータ(富士通FMII)に接続し、2分以内でX線フィルムの入力を可能にした。この入力系の性能を評価した結果、以下の事が判明した。 (1)実用的なピクセルサイズは最小0.143mmである。(2)写真濃度を得るためには出力グレイレベルの対数を取る。(3)測定可能な最大黒化度は1.5である。(4)有効量子化レベルは64階調である。従って、骨ミネラル定量の入力装置としては不十分な性能であった。これを補うために、ソフトウェアの工夫を行ない、X線の線質を硬くした所、従来のマイクロデンシトメータと同程度の被写体厚さのダイナミックレンジを得る目途が立った。 画像処理を高速化するため浮動小数点演算ボードを導入し、これを機械語で駆動するソフトウェアを開発中である。 2.移植人工骨周囲の新生骨の成長過程の観察 家兎下顎骨に移植した高密度ハイドロキシアパタイト周囲の新生骨の成長過程を、移植後、1か月から1年迄、本法および組織学的方法で観察した。 新生骨は移植後1か月から石灰化を始め、3か月頃迄に移植したアパタイト周囲を包む様になく。1年後には新生骨は肥厚し成熟した層板骨に置換する。この様子を本法で観察した所、上記の組織学的観察結果とほぼ一致する結果を得た。すなわち、術後1か月では骨ミネラルは検出されず、術後3か月で0.3g/cm^2を検出した。1年後の骨ミネラル量は3か月と同程度だった。 3.まとめ 本法で骨ミネラル量の変化を非観血的に定量的観察を行えることが判明した。現在薄い被写体のみが観察可能であるが、今後厚い被写体にも応用可能となるよう、改良する予定である。
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