研究概要 |
口蓋裂術後患者の音声で聴覚的に開鼻声を認めたものを, 当初の計画通りソナグラムで分析したところ開鼻声を定量的に判定することがむつかしいことがわかった. そこで以下の実験を行った. 1.音声の測定(データの収集)と解析方法 1-1音声の測定方法 口腔より発した音声はマイクロフォンで受音する. 超小型振動ピックアップを鼻の骨に両面テープで固定する. 2系統の信号は各々マイクロフォンアンプ, チャージアンプを経由して2チャンネルテープレコーダーに同時入力する. 1-2音声の解析方法 リオン社製2チャンネル騒音振動解析装置を使用. 本装置は横軸に周波数, 縦軸に大きさ(dB)が表示され, 発声音と振動を画面表示する. 音はヘッドフォンでモニターしながら安定した状態でトリガーをかけ画面をコピーする. 2.基礎実験1:振動採取のためのピックアップ固定位置の検定 対象:正常者2名, 口蓋裂患者で聴覚的に開鼻声重度と判定した2名, 軽度と判定した2名, いずれも10歳〜20歳. 方法:ピックアップを, 初験者の鼻軟骨や鼻骨に固定して5母音を自然な発声で5回ずつ発声させる. 結果:鼻骨に固定した場合母音の種類により振動の採取が困難であった. 鼻軟骨に固定した場合は, どの被験者でも, 全母音で振動採取が可能であった. 3.基礎実験1に基づく母音の解析, 方法:鼻軟骨にピックアップを固定. 基礎実験1の被験者から正常例では音声は母音の種類により成分の出現する周波数帯域が異なっていた. 振動は母音の種類により成分に強弱があったが出現する帯域は基本周波数に集中していた. 一方D蓋裂音声では振動は基本周波から7CH2帯域に認められた.
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