研究概要 |
62年度の主目的のうち, ウサギ洗浄血小板と血小板凝集計を用いたPAFの微量定量法の確立については達成された. また細胞培養系についても強いコラーゲン合成能と石灰化能を有する骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1を分与されたため, 当初の目的にかなう細胞を実験に供することが可能となった. そこでMC3T3-E1のPAF代謝に関する基礎的実験を行った. 1.MC3T3-E1のPAF合成活性に関する実験:実験にはコンフルエント直前の状態の細胞を用いハンクス液中で37°Cで30分間インキュベートした. その後PAFを抽出し血小板凝集計で定量を試みた. しかしながら10^<-6>MのCa^<++>イオノフォアA23187の刺激によってもPAFは検知されなかった. 従って今後はPAF合成反応の基質であるアセチルCoAを添加する等の条件下で再検討する必要があると考えられた. 2.MC3T3-E1のPAF分解活性に関する実験:実験には1.と同じ状態の細胞を用い10^<-7>MのPAFを含むハンクス液中で37°Cで0〜60分間インキュベートし, 1.と同様にPAFを定量しした. その結果インキュベーション60分間で約90%のPAFが代謝されることがわかった. さらに放射性PAFを用いて同様に60分間インキュベートし, 抽出物をTLCで分離して放射能分布を調べた. その結果PAF分解産物であるlysoPAFのピークがみられ, MC3T3-E1のPAF分解活性が確認された. 今後は放射性PAFを用いた実験を追加し, PAF代謝の概要を経時的に把握したいと考えている. 本年度の結果を考慮すると, 骨芽細胞による内因性PAFを追うことを中心とした当初の計画では目的を達成し難いため, 今後はPAFの骨吸収能の測定等についても検討していきたい.
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