研究課題/領域番号 |
62570914
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大前 博昭 大阪大学, 歯学部, 助手 (80160620)
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研究分担者 |
中川 浩一 大阪大学, 歯学部付属病院, 医員
井上 裕子 大阪大学, 歯学部付属病院, 医員
井上 博之 大阪大学, 歯学部, 助手 (90167271)
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キーワード | アパタイト / コラーゲン / 骨補填 / 唇顎口蓋裂 / 成長因子 |
研究概要 |
非焼結炭酸アパタイト・コラーゲン複合体を骨補填材料として利用する目的で、各種の実験を行ったところ以下のような結果が得られた。 1.非焼結炭酸アパタイトを牛皮由来のアテロコラーゲン溶液と混合・風乾して成形性を賦与したアパタイト・コラーゲン複合体はUV照射を4時間行うことによって、生食中での実験およびラット腹部筋膜下への埋入実験により形状の保持が良好となることが判明したが、さらに長期間に渡って形状を維持する目的でアパタイト・コラーゲン複合体のフィブリン化を試みた。フィブリン化アパタイト・コラーゲン複合体はラットおよび家兎の頭蓋骨膜下への埋入実験で1ケ月に渡って形状の保持が良好であり、生体親和性も損なわれないことが判明した。 2.骨誘導性を有する成長因子による骨補填材料の修飾に先立って、ニワトリ胚由来の胚骨の器官培養系において、培養条件並びに各種の成長因子による骨膜由来の骨化の促進の様相を検討したところ、低酸素条件下で、未分化間葉系細胞から軟骨細胞への分化が促進され、一方酸素濃度が高い条件下でも0.3%FCS・VT.C・ハイドロユーチゾン・インスリン・高密度リポタンパク質・FGF(線維芽細胞増殖因子)を添加した培養条件下ではこれが促進されることが明らかとなった。 3.ラット頭蓋骨および家兎下顎骨に人工的に作成した骨欠損部へのアパタイト・コラーゲン複合体の埋入実験を行ったところ、形状の保持並びに骨組織との親和性が良好で、埋入1ケ月で周囲組織とほぼ均一な組織像を呈するようになった。このことから、フイブリン化アパタイト・コラーゲン複合体は骨伝導性を有し、骨の再生を促進する可能性が示唆された。一方、FGF溶液中に浸漬したアパタイト・コラーゲン複合体を用いた埋入実験では、FGFによる修飾を行われなかったものに比べて明らかな骨再生の促進効果があるとは判断できなかった。
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