研究概要 |
1.前年度と同様の方法により(-)酒石酸(1__〜)を不斉原料とし、エステル化の後、bicyclo体(2__〜:R′=Me)を経由しイエネズミフェロモン成分の一つ7ーEthylー5ーmethylー6,8ーdioxabicyclo〔3.2.1〕octー3ーeneの(1R,5S,7R)ー(-)体(3__〜)を合成した。2.イエネズミフェロモン成分には不斉炭素を含むもう一つの成分2ーsecーButylthiazoline(6__〜)の存在がわかっている。上記(3__〜)のフェロモン活性の検定には(6__〜)の両光学対掌体の入手が不可欠である。筆者は市販の(S)ー(-)ー2ーmethylー1ーbutanolおよび(R)ー(-)ーmethyl 2ーhydroxymethylpropanoateを原料とし、それぞれ対応する光学活性2ーmethylbutyric acid(4__〜),2ーmethylbutyronitrile(5__〜)を経由して(6__〜)の両光学対掌体を合成した。しかし、合成途中で一部ラセミ化が進行し、光学純度は60%であった。3.ドクニンジン(hemlock)に含まれる有毒アルカロイドの一つαーconhydrine(9__〜)の最初の不斉合成を計画、実施した。即ち、(1__〜)を原料とし、bicyclo体(2__〜:R′=H)を経由し、部分開環、増炭、次いでpyran環の官能基変換を行いlactone(7__〜)を合成、次いで開環後、光延法で水酸基の絶対配置を反転し、azide(8__〜)へ誘導した。今後(8__〜)より還元、ラクタム化を経て(9__〜)を合成する予定である。4.不斉炭素を含む複雑な構造を有する化合物の全合成においては官能基の保護基の選択が重要である。筆者は緩和な酸化的処理で除去できるアセタール型の新規な水酸基の保護基pーanisyloxymethyl(P-AOM)基を開発した。
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