研究概要 |
1.強壮を目的に用いられる生薬・刺五加および杜仲からdioxabicyclo-octane型リグナンのpinoresinol,matairesinol,syringaresinolなどのモノおよびジ配糖体を単離した。そのcAMP-hosphodiesterase阻害活性につき、アグリコンとその配糖体の構造活性相関について検討を行なった。その結果、その相関はジ配糖体≧アグリコン>モノ配糖体という関係にあることが明らかとなった。阻害活性の高い化合物には種々の薬理作用が期待出来る。そこで強壮生薬から共通して見出されたsyringaresinol di-D-B-D-glucosideにつきラットの遊泳運動実験を行なったところ、慢性的運動ストレスに対し、その運動持久性を高める効果のあることが明らかとなった。 2.チドメグサから単離したL-sesaminに血液凝固促進作用を見出した。その構造活性相関を検討する目的で、関連化合物のd-sesamin、pino-resinol、isohinakinin、pluviatolide、arctigenin、mateiresinolにつきその血液凝固促進作用のスクリーニング試験を行なった。しかしいずれもその活性は認められなかった。L-sesaminの血液凝固促進作用はその物質に特有の作用と考えられる。 3.行〓止血、通経絡、〓風湿薬とされる絡石藤の茎部水エキスに活性酸素産生制御抑制作用ならびにヒスタミンによる気管平滑筋収縮に対する弛緩作用を認めた。その活性本体はエーテル抽出画分に移行する含有成分のarctigenin、matairesinol、trachelogenin、nortrachelogeninでいずれも10^4g/ml濃度で弛緩作用を示した。またarctigenin、nortrachelogeninには現在抗リウマチ薬として市販されているauranofinとほぼ同程度の活性酸素産生抑制作用が、frachelogenin、arctigeninにはaspirinとほぼ同程度の血小板凝集抑制作用が認められた。なお絡石藤に主成分として含有されるリグナン配糖体には上記生理活性作用は認められなかった。
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