研究概要 |
1.酵素活性測定法 エンザイムイムノアッセイ(EIA)に用いる標識酵素の一つであるグルコースオキシダーゼ(GOD)の活性測定のうち、ペルオキシダーゼ(HRP)を組み合わせる吸光光度法における発色基質の多くは変異原性があるため、これらに代わるものとして3,3^',5,5^'-テトラメチルベンチジンを導入し、良好な成績を与えるGOD検出系を確立した。また、β-ガラクトシダーゼ(β-GAL)活性の測定において、新しい基質であるクロロフェノールレッドβ-D-ガラクトピラノシドに評価を加えた。 2.GOD標識を用いるEIA系 GODを標識酵素に用いる11-デオキシコルチゾールのアッセイにおいて、他の酵素系に比べて、免疫反応性が経時的に著しく低下することを見い出した。この知見は、EIA関連分野において重要であることから、今後、その原因の解明を試みる。 3.標識酵素の比較評価 標識酵素として主に用いられているβ-GAL、HRP、GODおよびアルカリホスファターゼ(AP)について、一定基準を設定して比較評価を加えた。すなわち、これら標識抗原を用いてテストステロンEIA系を組み、反応モル比、結合比、免疫反応性並びにアッセイ感度について整理した。測定感度についてみると、HRP>GOD>AP>β-GALの順であった。 4.ブリッジ現象 EIAの感度に影響する因子の一つであるブリッジ現象に関して、すでに「EIA」の感度は一部、ブリッジの長さの効果として論じ得る」ことを提示しているが、さらに今回、この現象が用いる標識酵素に依存することを示唆する知見を得た。ブリッジ現象は、ハプテン一般のイムノアッセイに共通する問題であることから、今後、より系統的に検討する
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