研究概要 |
1)2波長×線光音響法の確立と金属イオン定量への応用 本年度分解能を0.5mmまで改善して, フォトンファクトリーBL15Aの集光ビームにてイメージングの基礎実験を行い単一波長での金属薄片の分布像を得る事に成功した. 波長1.48〓で吸収係数の高い錫, 銅の領域で高い信号が得られ予想どうであった. 分光集光ビームラインはまだ公開されず, 差像を得る事が出来ないがその可能性を確認できた. また将来の3次元分析のため位相も捉えられるよう, イメージング用ソフトも改良した. この成果を基に, 更に金属イオンの分布像を捉える事が出来るか検討した. 試料としては, 血液スミアー, 金属錯体を対象としたが, その信号はまだ微弱で測定系の改善が必要であることが分かった. 2)吸収端付近の微細構造スペクトル(EXAFS)測定と状態分析 これは63年の検討事項でもあるが, 金属箔片を用いて, 従来のEXAFSと全くよく対応したスペクトルが光音響にも捉えられる事を発見した. この発見を基に, 従来法との比較を行った. Cu箔の光音響スペクトルをフーリエ変換して得た動径分布関数は吸収法と殆ど同じで, 本法が構造解析に利用できることが判明した. また, 深い所のEXAFSを非破壊的に測定すると言う光音響ならではの分析も可能であることがわかった. 3)その他の展開: このX線光音響効果はガス相でも, 液相でも検出できることが分かり, これによりその適用性は大きく広がった. ただ一つ問題点は, 感度である. 現在のセルデサインでは感度が足らず, 測れるものはまだ限定されている, これを乗り越えるためにセルの高感度化が必要であり現在民間と共同開発中である. 此の間, これらの仕事は4つの論文, 1つの本の一部となり, 国際会議での招待講演ともなった.
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