研究概要 |
申請者らは既に, o-フタルアルデヒド/N-アセチルシステイン(OPTA/AcCys)試薬をHPLCによるアミノ酸光学対掌体の分離のためのchiral誘導体化剤として開発し, その有用性を示しており, この際得られる各誘導体が他のチオール化合物と組み合わせた場合に比べ, 自動酸化に大して比較的安定な事を見いだしている. この事は, イミノ酸検出の為の酸化反応と組合たポストカラム蛍光検出系において, これまでのアミノ酸分析計では果せなかったアミノ酸とイミノ酸の同感度での測定を可能にするものと予想された. そこで陽イオン交換クロマトグラフィーによる分離系との組合わせにより, 次の様な検討を行なった. 装置の構成としては, マイクロプロセッサー制御のHPLCポンプに自動試料注入装置, 陽イオン交換樹脂カラム, ポストカラム反応用テフロン管, 試薬送液用ポンプ, 及び蛍光検出器を接続して用いた. カラムと反応管は夫々別のオーブンに設置し, 反応管の長さを変化させることにより, 酸化反応と蛍光反応の最適化を図った. 酸化剤としては従来よりこの目的に使用されている市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を緩衝液で希釈して用いた. アミノ酸標準溶液(イミノ酸であるプロリンを含む)を試料とし, 発蛍光試薬のチオール化合物AcCysと, 従来からのメルカプトエタノール及びエタンチオールとの比較を行なった. その結果, 予想されたとうりAcCysを用いた場合プロリンのようなイミノ酸の検出感度が飛躍的に向上し, 従来のチオール類のそれの10-20倍となったためアミノ酸とイミノ酸が同程度の感度で測定出来るようになった. この時点でアミノ酸イミノ酸のピコモルレベルでの測定が可能となり, 本システムの企業化が進行している.
|