研究課題/領域番号 |
62570983
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川嵜 伸子 京都大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70077676)
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研究分担者 |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学部, 助教授 (50025706)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | マンナン結合タンパク質 / 糖結合タンパク質 / 血清レクチン / 動物レクチン / 補体活性化作用 / 補体依存性殺菌作用 / 古典的経路 / 生体防御 |
研究概要 |
ヒト血清中の、マンノース(Man)、Nーアセチルグルコサミン(GlcNAc)に特異的なレクチンであるマンナン結合タンパク質(MBP)の補体活性化作用とその機構、および補体依存性殺菌作用について調べた。 MBPー酵素マンナンーヒツジ赤血球複合体を用いる受身溶血反応により調べたところ、このMBP感作赤血球はヒト補体によりほぼ100%溶血した。反応はマンナン量、MBP量、補体量に依存し、また補体第4成分に依存的であり、Man、GlcNAcなどのハプテン糖により効果的に阻害された。したがって、ヒト補体系がヒト血清MBPにより古典的経路を介して活性化されることが明らかとなった。ヒト血清より補体第一成分のサブユニットC1q、C1r、C1sを単離し、C1r^^ー_2S^^ー_2を^<125>Iで標識した。^<125>IーC1r^^ー_2S^^ー_2はC1qの存在の有無にかかわらず、MBP感作赤血球に結合した。また、C1qを除いたヒト補体でもMBP感作赤血球は溶血した。したがって、MBPによる補体の活性化はマンナンーMBP複合体が直接C1r^^ー_2S^^ー_2に結合して開始されると考えられる。大腸菌B株およびKー12株に、Ca^<2+>存在下でヒト血清MBPを反応させた後、洗浄した菌体にモルモット補体(予め、被検菌で吸収)を反応させ、反応液を平板栄養培地で培養し、コロニー数を算定して殺菌効果を調べた。MBPで感作された菌は感作されない場合の数%にまでコロニー形成能が減少した。この殺菌効果は補体濃度、MBP濃度に依存し、補体第4成分に依存した。菌体はMBPにより凝集された。^<125>Iー標識MBPと菌体は高い親和性で結合し(Kd【approximately equal】6×10^<-9>M)、菌体1個あたり最大約3万分子のMBPが結合した。この結合はMan、GlcNAcにより阻害された。以上より、MBPはRough型大腸菌の細胞壁のroughコアオリゴ糖中のマンノヘプトース、GlcNAcを認識して結合し、この結合体がC1qに代って、C1r^^ー_2S^^ー_2に直接結合することにより補体の古典的経路の活性化を始動し、殺菌して生体防御に役立っていると考えられる。
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