研究概要 |
光化学治療に有効な光増感剤を開発する目的で光増感作用を示す薬剤のスクリーニングを行った. 半数体酵母Saccharomyces cerevisiae DP1 1B/517にたいする細胞致死作用および変異誘発作用を指標として検索を行なった. キサンチン系色素6種, アクリジン系9種, アソ系8種, トリフェンルメタン系8種, キノリン系4種, テアジン系3種, その他4種の径42種の薬剤について光増感による酵母細胞致死作用を検討したところ, ユークラビン, プロフラビン,, アクリジンイエロー, リバノール, 既にガンの光化学治癒に応用されているアクリジンオレンジなどのアクリジン化合物に強力な作用を持つものが多く見い出された. キノリン系ではピナシアノール, チアジン系のトるイジンブルー, チオニン, その他のものとしてヘマトポルフィリン, プロトポルフィリンなどが致死作用を示した. 一方ミトコンドリア性変異誘発作用に関してはユーフラビン, プロフラビン, リバノール, アクリジンイエローやピナシアノール, チオニンが高い誘発能を示したほかトルイジンブルーにも活性が認められた. これらの関連化学物のなかに毒性が低く, 強力な光増感活性を持つ光化学治療薬が見い出される可能性が示された. 薬剤の光増感作用による変異誘発のメカニズムを明らかにする目的でDNAの一本鎖切断の誘発を検討した. プラスミドYRp7をEscherichia coli中で増幅した後アルカリで容積したホモジェネートから抽出・精製した. ユーフラビン, ハマトポルフィリンなどの種々の増感剤を作用させた後光照射し, 本研究費で買入したスラブゲル電気泳動システムを用いて電気泳動した. その結果Covaently Closed Circular状のプラスミドDNAに一本鎖切断が生じ, 移動度の異なるOpen Circular DNAのbandが生ずることが示された. このような一本鎖切断の誘発活性も, 有効な光増感剤をスクリーニングするうえで有力な指標になるものと考えられる.
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