1.LーバンドESR分光器およびループギャップレゾネーターを用いその特性に関し、ジフェニルピクリルヒドラジドを標準物質とし、感度の空間均一性を解析した。その結果、今年度納入された本装置は十分な機能を有すると判断された。つづいて、マウスにニトロキシドラジカルを投与し、実際にin vivoでのESR測定を試みたところ、シグナル/ノイズ比は未だ不満足であるが、ESR信号を得ることが出来た。現在、種々のニトロキシドラジカル誘導体を用いて、in vivo ESR測定を進めている。 2.Xーバンド分光器を用いて、磁場勾配用コイルを作成し、その勾配特性を調べた。今回、自作したコイルにより10ガウス/cm程度の磁場勾配を得ることができた。次に、画像化用プログラムとして、フィルター逆投影法を基礎とし、ESRデータの採取、重畳、逆投影の各サブルーチンを作成し、モデルスペクトルによる画像化に成功した。更に、スピンラベル剤をxーy平面に置き、18のプロジェクションスペクトルを測定した。このスペクトルより、ESRイメージングした結果、実像と一致する画像を得ることができた。 3.肝ミクロソームで発生する活性酸素種を同定するために、DMPOによるスピントラッピングおよびそのESR測定を行った。その結果スーパーオキシドアニオンラジカルとヒドロキシルラジカルの産生が初めて確かめられた。 4.リポソームと肝細胞との相互作用を解析するために、スフィンゴ糖脂質であるGMを含有するリポソームを作成し、in vivoでの臓器分布を放射性同位元素法で検討した。その結果、肝へのリポソームのターゲッチングに関する基礎データが得られた。
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