研究課題/領域番号 |
62571003
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
三羽 信比古 国立予防衛生研究所, 抗生物質部, 主任研究官 (00142141)
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研究分担者 |
松野 哲也 国立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 室長 (30109970)
水野 左敏 国立予防衛生研究所, 抗生物質部, 部長 (60072930)
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キーワード | 脳由来蛋白質 / 細胞増殖抑制因子 / 個体発生途上産生物質 / 神経芽腫細胞 / 分化促進作用 / リセプタ結合 / 蛋白質の精製 |
研究概要 |
(1)NBCFは各種正常細胞よりも癌細胞に選択的に増殖抑制作用を示すが、なかでも各種脳腫瘍細胞への効果が大きく、特に神経芽腫細胞に対しては顕著な抑制作用が認められ、次いで髄管芽腫細胞やグリア(芽)腫細胞・上衣腫細胞をも抑制した。これらの細胞はヒト・マウス・ラット・ハムスターなど種特異性は限定されなかった。 (2)ヒト神経芽腫NB1細胞をジブチリルcAMPや(ヒトグリア芽腫A172細胞由来)グリア因子で前処理すると、処理時間や用量に依存してNBCFによる細胞増殖抑制作用は低減した。また、神経突起を指標にすると、神経芽腫細胞は分化促進されるに伴い、そのNBCF感受性が低減すること、さらに、この感受性低減は新たな蛋白質合成が必要で、糖リピド中間体の合成も幾分必要だが、DNA・RNA合成は直接関与しないことが判明した。NBCF感受性の変化はニューロン因子で処理したグリア芽腫細胞・神経芽腫細胞では見られず、グリア因子で処理した神経芽腫細胞に特異的な現象だった。 (3)NBCFのマウス神経芽腫NAs1細胞に対する増殖抑制作用は不可逆的で、1時間の細胞接触でNBCF作用は発現され、6時間以上の接触で充分な作用発現に至った。NBCFは37℃溶液状態で安定であり、細胞外分泌物質によっても活性低下しなかった。NBCFの細胞への作用様式は温度依存せず細胞表面に可逆的吸着する段階が存在し、次に、温度依存性にリセプタに不可逆的に結合し、この後細胞内にインターナリゼイションされ増殖抑制作用を発現させるものと推測された。 (4)NBCFは、新生期マウス脳分泌物より大量規模で単一蛋白質として鈍化し、90pmoleを得た。N端近傍アミノ酸配列順序を決定し、遺伝子組換え法で大量生産しようと企図している。下垂体や嗅球を除いた新生期ブタ大脳由来のNBCF様増殖抑制因子も精製を進め、同一組織由来の増殖促進因子との相互作用を検討している。
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