研究概要 |
我々は,ガス濃度制御方式が従来の人工肺ガス混合器とは本質的に異なる装置開発に関する基礎研究を行ってきた. すなわち, これまでのニードルバルブを用いたロタ・メータのような機械的回転調節機構を有せず, サーマル, マスフロー・コントローラ(TMFC)を使用し, ガス流量を電圧信号で制御する方式である. 本研究の初年度においては, 新方式の人工心肺管理システムの具備すべき機能を調べ, それに基づき装置の設計および試作を行うことを目標とした. 本年度に行ったおもなことを以下に列記する. 1.動物実験用人工心肺ガス供給量に適した高速TMFC(エステック:SEC-4500)を本年度設備備品費の一部で購入し, 現有のTMFCと組み合わせてガス生成部を製作した. 2.ガス流量制御部および循環血流量制御部を製作するため, パーソナルコンピュータ(日本電気:PC-9801VX41/WN)を本年度設備費品費の一部で購入し, 制御用プログラムの開発を始めた. 3.本年度消耗品費の一部で, 小動物用ホローファイバ型人工肺(テルモ:キャピオックスII16)および生食水を購入し, 人工心肺実験装置の開発を始めた. 今後の研究の展開として, センサ部を組み込み制御プログラム完成後, 装置の動作を確認するため, イヌを用いた動物実験を行う予定である. さらに人工肺に麻酔ガス(笑気)を供給することも考えている.
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